バラルダ物語
牧野信一

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)薄明《うすあけ》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)見事な|巻き落し《ヴオレイ》を

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+宛」、第3水準1−84−80]ぎとらうと

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)殆んどすれ/\になつて
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

[#ここから2字下げ]
俺は見た
痛手を負へる一頭の野鹿が
オリオーンの槍に追はれて
薄明《うすあけ》の山頂《みね》を走れるを
――あゝ されど
古人《いにしへびと》の嘆きのまゝに
影の猟人なり
影の野獣なり
[#ここで字下げ終わり]

 日照りつゞきで小川の水嵩が――その夕暮時に、この二三日来の水車《みづぐるま》の空回りを憂へたあまり、蝋燭のやうにめつきりと耄碌してしまつた私と此の水車小屋の主人であるところの雪太郎と、ふるへる腕を堪えて水底深く水深計を立てゝ見
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