の室があることが分る。
 此の様に思案して居ると、再び以前の物凄い叫び声が聞えた、今度は前ほど鋭くなく、殆ど病人の呻吟《うめ》き声かとも思われ、爾して続き方も以前ほど長くなく少しの暇に止んで了った、余の見当に由ると何うしても今の声は余の居間で発した者だ、決して塔の底の方でもなければ上の方でもない、ハテナ、余の居間へ如何なる怪物が入り込んで居るだろう、斯う思うと引っ返して見届け度いような気もする、けれど明日の昼の十二時までは塔の此の部分から出る事は出来ぬのだから我が居間の事などは思うだけ無益である、其れよりは早く塔の底へ降らねば成らぬ。
 図※[#「※」は「たけかんむりの下にかねへんの碌」、読みは「ろく」、190−下9]がなくては如何とも仕方はないが、兎に角、八所《やところ》の戸を悉く開いて検めるが第一だ、其のうち一ケ所は今上から降りて来て這入った所だから検めるには及ばぬ。
 残る七ケ所を一々検めた、中には鼠が巣を作った跡の見える所も有る、成るほど鼠なら此の塔の秘密を知って居よう、鼠が言葉を解する者なら問うて見るのになど呟きつつ検めて最後の一ケ所と成ったが、有難い、此所には熟く視ると埃に
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