ます」
此の様に順序を立てて言い来たられては、或いは信ぜぬ訳に行かぬ事となるかも知れぬ、と余も此の様に思い始めた、先生は余が心の斯く聊か動かんとするを見て取った様子で「先ず私の仕事から話しましょう、私は篤《とく》と夏子の顔を見ましたが、如何にも美人で、作り直す事が勿体ない、見る影もない醜婦にする事は容易ですが、それでは造化の美術を傷つける様な者で天に対して恐れが多い、何うか天然の美術を傷つけぬ様に、爾して全く別人と見える様に生れ替らせ度いと色々苦心を仕ましたが此の苦心の為に却って私の手際が不断ほど現われなんだのです、通例の顔ならば誰が何う見ても同一人とは見えぬ様に生れ替わらせる事が出来ますけれど、何しろ美しい者を美しい儘で変形させようというのですから、手際を現わす範囲が至って狭い、異中に異を求めるのでなく、同中に異を求めるのですから、全体云えば無理な話ですけれど、私は仕遂げました、とは云え何うも二人の顔に似寄った所が大変に残って居ます、既に鼻などは少しも変る事が出来ん。変れば必ず見劣りがするのです、歯並びなども其の通りで、真に天然の完全に達して居る者をば、其の完全を傷つけずに並べ変え
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