んに「貴方は此の婦人をゆくゆくは妻にするお積りですか」と問いますから、道さんが何と返事するかに拘わらず貴女が其所で断われば好いのです」秀子「貴女の仰有る事は、罪人をでも取り扱う様な風で、常ならば私は決して応ずる事は出来ませんが、唯貴女が根もない嫉妬を起し、爾して様々の邪推をお廻し成さるのがお気の毒ですからお言葉に従いましょう」お浦「爾して道さんに向い、猶私の肩を持って『是非此の方と元の通り夫婦の約束にお立ち帰り成さい』と勧めて呉ねば可ませんよ」秀子は少し笑いを催した様子で「ハイ」と答えた、お浦「夫だけでは未だいけません、貴女は私が此の家の娘分で有った事も御存じでしょう」秀子「ハイ、夫も聞いて知っています」お浦「夫だのに私の追い出された後へ貴女が更に娘分と為ったのですから、是も辞退して貰わねばなりません」秀子「エエ」お浦「イイエ矢張り叔父に向い『最う此の家の娘分で居る事は出来ません』と言い切って、爾して此の家を立ち去らねば了ません、貴女さえ立ち去れば自然と私が元の通り此の家の娘分と云う地位へ復《かえ》る事が出来ますから、私は自分の権利として貴女へ請求するのです」秀子「夫ばかりは出来ません
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