春子は塔の境内に宝物|庫《くら》を建て、一先ず彼の十七有個の箱を塔から取り出して之を納め、第一号の家珍は子孫へ伝える事とし、金銀は全英国の慈善事業総体へ寄附し猶欧洲大陸、及び東洋南洋の殖民地の教会へも寄附し、其の他世界中の慈善事業へ今以て寄附して居る、併し叔父の領地即ち余の領地も之が為に大いに広がったことは事実である、領地には一郷々々に悉く小学校を建てた、其の費用も春子が支弁して居るが、中には毎月五百ポンドほど掛かる、大きな学校も有る、けれど仲々それだけでは使い切れぬ、猶大部分は、珠玉などまで銀行の倉庫に在って、利に利を産んで居るが、他日若し英国正義の進路の為に国運を賭して他国と戦争する時が有らば決して課税などを引き揚げさせぬと春子は云って居る、言い替えれば軍費に献納する積りである、何と目出度い訳ではないか。
底本:「別冊・幻影城 黒岩涙香 幽霊塔・無惨・紳士のゆくえ」幻影城
1977(昭和52)年12月25日発行
底本の親本:「幽霊塔」前編、後編、続編 扶桑堂
1901(明治34)年初版発行
参考図書:「幽霊塔」旺文社文庫、旺文社
1980(昭和55)年2月1日初版発行
※誤記等の確認に旺文社文庫版「幽霊塔」を参考とした。また、旺文社文庫版をもとに難読な語にルビを追加した。
入力:地田尚
校正:かとうかおり
1999年11月5日公開
2000年7月17日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全134ページ中134ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
黒岩 涙香 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング