(荻)爾《そう》まで分れば夫《それ》で能い最《も》う其本人の名前と貴公の謂《い》う、計略を聞《きこ》う(大)併し是だけで外に疑いは有ませんか(荻)フム無い唯だ今|謂《いッ》たミステリイとかの一点より外に疑わしい所は無い(大)夫《それ》なら申ますが斯《こう》云《い》う次第です」と又も額の汗を拭きたり
扨大鞆は言出《いいいず》るよう「私しは全く昨日の中に是だけの推理をして罪人は必ず年に似合ぬ白髪が有て夫《それ》を旨く染て居る支那人だと見て取《とり》ました、夫《それ》に由り先ず谷間田に逢い彼れが何《ど》う云う発明をしたか夫を聞た上で自分の意見も陳《のべ》て見ようと此署を指して宿所を出ました所宿所の前で兼て筆墨初め種々の小間物を売《うり》に来る支那人に逢《あっ》たのです何より先に個奴《こやつ》に問うが一番だと思いましたから明朝沢山に筆を買うから己の宿へ来て呉れと言附て置ました、夫より此署へ来た所丁度谷間田が出て行く所で私しは呼留たれど彼れ何か立腹の体で返事もせず去て仕舞いました夫《それ》ゆえ止《やむ》を得ず私しは又宿所へ引返しましたが、今朝に成て案の如く其支那人が参りました、夫《それ》を相手
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