理《もっとも》なる議論と思い「成る程|分《わか》った天然《うまれつき》の縮毛《ちゞれげ》で無いからお紺の毛では無いと云うのだナ(大)サア夫が分れば追々云いましょう、僅《わずか》三本の髪の毛ですけれど斯う云う具合に段々と詮議して行くと色々の証拠が上って来ます貴方|先《ま》ア御自身の髪の毛を一本お抜なさい奇妙な証拠を見せますから、此証拠ばかりは自分に試験して見ねば誰も誠と思いません先ア欺されたと思って一本お抜なさい、抜て私しの云う通りにすれば期《きっ》と実《まこと》の罪人が分ります」荻沢警部は馬鹿/\しく思えど物は試験《ためし》と自ら我頭より長サ三四寸の髪の毛を一本抜き取り「是を何うするのだ(大)其髪の根《もと》を右向け梢《すえ》を左り向けて人差指と親指の二ツで中程をお摘みなさい(荻)斯うか(大)爾《そう》です/\、次に又|最《もう》一本同じ位の毛をお抜なさい、イエナニ何本も抜には及びません唯二本で試験の出来る事ですから僅《わずか》に最《もう》一本です、爾々《そう/\》、今度は其毛を前の毛とは反対《あべこべ》に根を左り向け末を右向て、今の毛と重ね、爾々《そう/\》其通り後前《あとさき》互違
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