ら、僕がシンガポールで買って来たしかもイギリスのセフィルド製のマークのついているナイフを取りあげて、いつまでもそう頑ばっていたりした。そしてこれもドイツで買ったのだと言って、それと同じようなのを出して見せたりした。それがその証拠だと言うんだ。そして僕はドイツ政府から金を貰ってフランスの労働者を煽動しに来たのだと言うんだ。
その他あんまりうるさい馬鹿なことばかりを言いやがるんで、お前のような奴とは話はごめんだ、あっちへ行ってくれ、と言ったら、大きな握拳を僕の顔の前に突きだして、
「このボッシュ(ドイツ人)の野郎!」
と怒鳴っておどかしやがった。
「うん、なぐるならなぐって見ろ。」
僕も少々癪にさわったんで、そう言って身構えしたが、さっきの私服がやって来てそいつをほかの室へ連れだした。
本名をあかしたあとの取調べはごく簡単に済んだ。そして僕は一人の私服に連れられて、ほかの建物の中の五階か六階かの上の方へ連れて行かれた。そこで裸になって、身体検査を受けて、写真をとられるのだ。
日本の警視庁では身長や体重を計って指紋をとるくらいのことだが、フランスではさすがもっと科学的に、頭蓋の大き
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