フ無産階級を新しい奴隷に陥しいれてしまう事実を指したのだ。
かくして僕は、はなはだ遅まきながら、共産党との提携の事実上にもまた理論上にもまったく不可能なことをさとった。そしてまたそれ以上に、共産党は資本主義諸党と同じく、しかもより油断のならない、僕等無政府主義者の敵であることが分った。
が、今ここに上海行きのこれだけの話ができるのは、共産党の先生等が捕まって、警察や裁判所でペラペラと仲間の秘密をしゃべってしまった、そのお蔭だ。それだけはここでお礼を言って置く。
五
それでも、僕にはまだ、ロシア行きの約束だけは忘れられなかった。そしてからだの恢復とともに、僕等自身の雑誌の計画を進めながら、ひそかにその時を待っていた。僕はロシアの実情を自分の目で見るとともに、さらにヨーロッパに廻って戦後の混沌としている社会運動や労働運動の実際をも見たいと思った。
そこへ、突然、その年の十月頃かに、ロシアで(十九字削除)。それは共産党の方に来たのだが、こんどは僕もその相談に与かった。共産党ではそこへやろうという労働者がいなかったのだ。そして僕は、いずれまた上海の時のようなことになるのだろ
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