が、大した反響も見えない。もっとも、この際官憲に乗ぜらるようなことがあってはいけないから、みんなできるだけおとなしく反抗しろと戒めてはいたが。
 そしてこの兵隊さんらは、日曜ごとに、女の大きなお臀を抱えながら、道々キスしいしいぶらぶらと市中を歩いている。
 天下泰平だ。

    九

 僕がフランスに着いてからの主な仕事の一つは、毎朝、パリから出るほとんど全部の新聞に目を通すことだった。
『ユマニテ』には、僕が着く早々、北部地方の炭坑労働者の大同盟罷工が報ぜられていた。そしてその罷工の勢いが日ましにはなはだしくなって行って実際七、八万の坑夫がそれに加わったようだった。しかるに、多くの資本家新聞には、毎日ほんの数行その記事があるくらいで、しかも毎日坑にはいって行く労働者の数がふえて行くように書いてある。罷工者の数も大がいは何百とかせいぜい何千とかあった。
 その後パリで八千人ばかりのミディネット(裁縫女工)の罷工があった時にも、資本家新聞を読んでいるだけでは、まるで分らない。きのうもきょうも、幾百人ずつの女工の幾組もが、あちこちの工場へ誘いだしの示威運動に行って、いたるところで警官隊と
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