のような生活をしている人間ばかりのように見えた。シンガポールでも店らしい店を出しているのはみな支那人かインド人かだった。土人はほんの土百姓かあるいは苦力《クウリイ》かだ。
 その支那人やインド人やはみな泥棒みたいな商人ばかりでいやだったが、道で働いている労働者の支那人やインド人は土人と同じような実に見すぼらしいものだった。ことにインド人が、あの真黒なちょっと恐そうな目つきをしていながら、そばへ寄って見ると実に柔和そうないい顔をしているのには、なおさらに心をひかれた。この支那人やインド人や土人の苦力どもは、まるで犬か馬かのように、その痩せ細った裸のからだを棒でぶたれたり靴で蹴られたりしながら、働いているのだ。
 これは、帰りの船の中でスマトラから来た人に聞いた話だが、時々この主人どもに対する土人等の恐ろしい復讐がある。土人の部落の中にだけで秘密にしてある、ある毒矢で暗うちを食わす。椰子やゴムの深い林の中から、不意に、鉄砲だまが自動車の中に飛んで来る。虎だの犀だのの被害のほかに、こんな被害も珍らしくはない。
 が、そうした個人的復讐ばかりじゃない。スマトラの土人の中には、すでに賃金労働者と
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