構えているので、不思議に思って尋ねた。
「ええ、追放になって、出て行くような奴はまあありませんね。今から上へ呼ばれて行って追放命令を貰って、それでもういいからって放免されるんでしょう。あとは、どこへ行こうと、どこにいようと、勝手でさあね。」
 その男は、彼等を不審がっている僕をかえって不審がるようにして、答えた。そして彼等の中の二人までも、これで二度目の追放なのだと附加えて言った。
 僕はまた、追放と言えば、いつかロシア人のコズロフの時に見たように、一週間とか幾日とかの日限を切って、その間多少の尾行をつけて厳重に警戒するのだろうと思っていた。ところが、何のこった。ただ一枚の書きつけを貰って、さあ勝手に出て行け、と突っぱなされるのなら、実際幾度食ったって何のこともないと思って安心していた。
 やがてその男等は呼ばれて、上へ行った。そして順々に、今からどことかの監獄に送られるのだといういろんな奴が呼ばれて行ったが、僕は最後まで残された。
 ついに僕の番が来た。が、僕は上へは連れて行かれずに、最初来た時に持物を調べられてそれを預けて来た、入口の小さな室に入れられた。そしてそこには、さっきの外
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