、そうそう寝てばかりいれるものでもない。時々は起きて、室の中をぶらぶらもする。その時の僕の呑気な空想を助けたものは、四方の壁のあちこちに書き散らしてある落書だった。
 大がいはみな同じ形式のもので、
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〔Rene' de Montmartre〕(モンマルトルのルネ)
 〔tombe' pour vol〕(窃盗のために捕まる)
   1916(一九一六年)
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 とあるようなのが普通で、そのルネという名がマルセルとなったり、モオリスとなったりして、そしてそのモンマルトルというパリの地名は多くはそれかあるいはモンパルナスだった。そこは、ちょうど本所とか浅草とかいうように、そういう種類の人間の巣窟なのだろう。
 また、その名前の下に、
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dit l'Italien(通り名、イタリア人)
dit Bonjours aux amis(通り名、友達によろしく)
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 というようなあだ名がついていた。このあとのは殺人犯だったが、まだ同じ殺人犯の男で、「鉄腕」というあだ名があったり、その他いろんなのがあったが、今はも
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