たらした。
 ある日、偶然僕は僕のからだのある一部分に、うぶ毛ではない黒い毛の密生して来ていることを発見した。僕はそれが非常に恥かしかった。これは僕と同じ年の友達には勿論、一つ二つ年上の友達にもまだ見ないことだったのだ。僕は幾度も、あるいは便所で、あるいは自分の室で、そっとそれを(十二字削除)した。が、いつの間にかまたそれが前よりも、もっと(五字削除)して来るのだった。
 それとほとんど同時頃に、僕はほんとうの自慰を覚えた。前にお花さんとやったほんの遊びが、こんどは(十三字削除)なったのだ。
 それ以来僕は机の前に長い間坐って本を読むことができなくなった。一時間も坐っていると、(五字削除)して来て、どうしてもじっとしていることができなかった。そして一日に二度も三度も自慰に走った。
 勉強家だった僕はすっかり怠けものになってしまった。

 僕は父や母が少しでも猥りがましいことをしたり、そんな話をしているのを見たことも聞いたこともなかった。
 従卒や馬丁が女中とふざけているのはよく見た。馬丁はほかから通って来るのでそれほどでもなかったが、従卒は書生か下男同様に泊りこんでいるので、始終女中と
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