もできなかったものと見えて、その家を出た日に野上弥生子君を訪い、そしてらいちょうにはハガキを出した。が、その後この二人の友人が悪罵に等しい批評を彼女の行為の上に加えているのを見て、彼女もまったくその友情を棄てていたようだった。けれどもまた、長い間の親しい友人に背くということはさびしい。彼女はよく彼女等との古い友情をなつかしんでいた。
「よかろう。それじゃ茅ヶ崎[#底本では「茅ケ崎」]まで一緒に行って、葉山に一晩泊って帰るか。」
僕は彼女の心の中を推しはかって言った。しかし、らいちょうの家では、僕等はひる飯を御馳走になって二、三時間話していたが、お互いに腹の中で思っている問題にはちっとも触れずに終った。
「いいわ、もうまったく他人だわ。私もう、友達にだって理解して貰おうなどと思わないから。」
彼女はその家を出て松原にさしかかると、僕の手をしっかりと握りながら言った。彼女はその友人に求めていたものをついに見出すことができなかったのだ。
葉山に泊った翌朝は、もう秋も大ぶ進んでいるのに、ぽかぽかと暖かい、小春日和となったようないい日だった。
「きょう一日遊んで行かない?」
僕は朝飯が済
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