いつまで辛棒できるかと思うと、自分でも恐ろしくなりますの。私今まで軍人の奥さんで、ことに日露戦争の間に、旦那が戦死してすぐ髪を切った方をたくさん知っていますわ。そしてそれが二、三年か四、五年かしてどうなったかもよく知っていますわ。そのまま立派な未亡人で通した方はまるでないんですもの。そして本当の尼さんのような生活にはいった人ほど、それがひどいんですもの。」
僕はただの平凡な軍人の細君と思っていた彼女が、これほどはっきりと、いわゆる未亡人生活を見透しているのに驚いた。
「それであなたはどうしてもその辛棒ができないというんですか。」
僕は彼女がそれについてどこまで決心しているのかを問いただそうと思った。
「いいえ、どこまでも辛棒して見るつもりです。今私は隅田の郷里に帰って、世間とのいっさいの交渉を断って、ただ一人の子供を育てあげることと、隅田の位牌を守って行くこととの、本当の尼さんのような生活をするように、毎日みなさんから責められています。しかしそれも辛棒して見るつもりです。どこまでそれで辛棒できるか知りませんが、とにかくできるだけどこまでも辛棒して行きます。」
「けれどもその辛棒がで
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