ばすぐ大学の選科にはいれ、その選科からはさらに普通学の試験を受けて本科に移れることをよく承知していたのだった。
とにかく僕はすぐにも上京することを許された。そして自分で元日の朝早く出発することにきめた。
が、この元日には俥屋が行こうと言わないので、仕方なしに翌二日に延ばした。
元日の朝は暖かいいい天気だった。それが昼頃から曇り出して、夕方にはもう霏々として降る大雪の模様になった。その晩の十二時少し過ぎだ。もう三、四尺積もっている雪の中を、僕は橇に乗って二人の俥夫に引かれてうちを出た。
「まあ、あんなに喜んで行く。」
母は一人で玄関のそとまで僕を送りだして、自分もやはり嬉し泣きに泣いていた。
町はずれまではまだよかった。が、町を出るともう橇は一歩も進むことができなかった。俥屋のお神はあらかじめそうと知って、ゆうべの間に一度とめに来たのだ。しかし僕がどうしても聞かないので仕方なしに一番屈強な男を二人選んで寄越したのだが町を出ると、雪ですっかり埋もっている道は、その俥夫の一歩一歩の足を腿まで食いこんだ。そんなことで橇が引けて行けるものではない。それに、橇の上に乗って、僕がその中に
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