まい。これは四谷の山田を通じてよく相談するがよかろう。
家屋はできるだけの手を尽して、なるべく早く売払うことにしたいが、なかなかそう思うようにも行くまい。やむを得なければ、その間は貸別荘というようなことにしてもよかろう。引上後の留守居については、いいようにしてくれ。
しかし、何と言ってもこの金ができなければ、伸、勇等の今後の進退ができない。またこれができれば別に山田から借金をしなくてもいいわけになる。なるべく早く売るように。
また、父の軍服、刀剣、馬具等は、マントのごとき子供等に利用し得るものの外は、悉皆売払ったらよかろう。これはちょっとした金になると思う。売りかたについては山田に相談するがいい。その他のガラクタ物は、みな売るなり人にやるなり、また棄てるなりして、なるべく例の簡易生活法をとるがいい。
東京の家は今のあたりでもよし、また都合によっては市中にはいってもよかろう。足下は弱い体でもあり、他に仕事もあり、また勉強もせねばならぬ身であれば、是非女中の一人は置かねばなるまい。よし松枝が来て手伝うとしても、いろいろ面倒なことの生ずるのを避けるため、少しぐらいの費えはあってもその
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