、な事件が起って、再びお互いに「長々し夜」をかこたねばならぬこととなった。これがわずか一年半ばかりの間の変化だ。足下と僕との二人の生活の第一ページだ。そしてこの歴史は、二ページ三ページと進むに従って、ますますその悲惨の度を増して行くことと思う。僕は風にも堪えぬ弱いからだの足下が、はたしてこの激しい戦いに忍び得るや否やを疑う。しかし僕は、この際あえてやさしい言葉をもって、言い換えれば偽りの言葉をもって、足下を慰めるようなことはしたくない。むしろ断然宣言したい。あのパベルのお母さんを学んでくれ。
僕はこの数日間、ゴーリキーの『同志』をほとんど手から離す間もなく読んだ。足下も『新声』でその梗概を見たと思う。パベルのお母さんが、その子の入獄とともに、その老い行く身を革命運動の中に投じて、あるいは秘密文書の配付に、あるいは同志の破獄の助力に、粉骨砕身して奔走するあたり、僕は幾度か巻を掩うて感涙にむせんだ。『新声』のは短かくてよく分らんかも知れんが、もう一度読み返して御覧。そして彼が老いたるマザーにして、自らが若きワイフなることを考えて御覧。
次の書物を送ってくれ。〔La Conque^te
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