ノなっていた。ジャガ芋の花は白く真盛りに咲いている。臭いいやな花だ。
枯川老および兄キの病気よきよし、喜んでいる。幽月はどうか、真坊の歯はどうか。弥吉はどうか。
「新兵」で刑期が思ったよりも延びたから、いろいろ相談もある。面会に来い。同志諸君および近所の諸君によろしく。
*
堀保子宛・明治四十年七月七日
その後病気はどうか。前々の面会の時のように、話を半ばにして倒れるのを見たり、また前の面会の時のように、蒼白い弱り込んだ顔色をしているのを見たりすると、いろいろ気にかかって堪らぬ。片瀬行きのことはどうなったか。だんだん暑くもなることだから、もし都合がいいようなら、なるべく早く行くがいい。そして、もう少し気を呑気にかつシッカリ持って、ゆっくり体を養ってくれ。
僕は相変らず頑健、読書に耽っている。しかし例の「新兵」で思ったより刑期も延びて、別に急がぬ旅になったことだから、その後は大いに牛歩をきめて、精読また精読している。イタリア語も、後に差入れた文法の方が、よほどいいように思われたから、前のは止して、また始めからやり直している。毎日一章ずつコツコツやって行って、来月の末に一と通
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