重括弧、1−2−54]トルストイ※[#終わり二重括弧、1−2−55]のようなものなら何の苦もなく読める。来月中にまた何か送ってくれ。先月の末からの差入れのものは大がい不許になった。近日中に送り返す。なお次のものを至急送ってくれ。※[#始め二重括弧、1−2−54]これは、実はいったん不許になったものを、また別な名で差入れる指図をしたものだ※[#終わり二重括弧、1−2−55]
伊文。プロプリエタ(経済学)。フォンジュアリヤ(哲学の基礎)、ロジカ(倫理学)。
英文。ルクリュ著、プリミチフ(原人の話)。ドラマチスト(文学論)。スカンジネビアン(北欧文学)。フレンチ・ノベリスト(仏国文学)。
仏文。ラポポルト著、歴史哲学。ノビコオ著、人種論。
なおほかに英文で、ウォドのピュア・ソシオロジイとサイキカル・ファクタアス、ギディングスのプリンシプル・オブ・ソシオロジイ。
ここまで書いたら、体重をとるので呼び出された。十三貫四百目。去年の末からとるたびに百目二百目ずつ増える。からだの丈夫なのはこれで察してくれ。
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堀保子宛・明治四十三年六月十六日
不許とあきらめていた四月上旬出の手紙を五月の半ばに見せられた。たぶん三月の半ばに一月出の※[#始め二重括弧、1−2−54]伸※[#終わり二重括弧、1−2−55]のを見たから、それから満二カ月目※[#始め二重括弧、1−2−54]懲役囚は二カ月に一回ずつしか発信受信を許されていない※[#終わり二重括弧、1−2−55]の今日まで延ばされたのだと思う。お上の掟というものはまことに峻厳なものだ。しかし四月下旬出のあの手紙は即刻見ることができた。これはまたたぶん臨時にというお恵みに与かったのだと思う。お上の掟にはまたこの寛容がある。ともかくこの一通の手紙で万事の詳しいことが分ったのではなはだありがたかった。
花壇を作ったということだが、思えば僕等が家を成してからすでに六年に近く、この間自ら花壇を作ることのできたのがわずかに二回、しかも一回だに自分の家の花壇の花を賞したことがない。
この監獄では僕等の運動場の向うに、肺病患者などのいる隔離監というのがあって、その周囲の花壇がいつも僕等の目を喜ばしてくれる。本年も四月の初めに、何の花だか遠目でよくは分らなかったが、赤い色の大きなのが咲きそめて、今はもう、石竹、なでしこの類が千紫万紅
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