ような念入りの減り方もあったけれど、それは一カ月ばかり後にまったく恢復していた筈だ。
しかしこの降り坂も、もう大がいはここらでお止りのことと思う。
先日面会の時に言ったドイツ語の本は、あれで分ったか。一つは Ein Blick in die Zukunft というので、もう一つは 〔Boetius, Die Tro:ftungen der Philosophie〕 というのだ。
この次にはケナンの著シビリーン三冊(シベリア紀行)と、ルシツシェ・ゲフェングニツセと、およびツェルトレーベン・イン・シビリーンとの三冊を合本にて送ってくれ。もしこれがなかったら、ハイネの作を全部。それから『吝嗇爺』の叢書の中にドイツ文学の仏訳のものがある。その中のゲーテとシルレルとの二人の作を全部取寄せるように、青年会館の前の三才社に注文してくれ。全部と言っても六、七冊くらいのものだと思う。
ビュルタンの中に何かイタリア語の本が見つかったか。もし無ければ、僕の本棚の中に黄色の表紙の『ル・ムーブマン・ソシアリスト』という雑誌が十数冊ある。それにも新刊紹介があった筈だ。若宮からは貸してくれるか。
仏文の Corneille 全集一冊(鼡色の表紙)〔Molie`re〕 全集三冊(合本して)および原書仏語辞書を送ってくれ。いずれも本箱の下の棚にあったと思う。
ドイツ文学史、英文学史(この二冊は日本文でも欧文でもよし)および支那文学史を、守田と安成に話して借りてくれ。
毎度言うが、エス文のものを何か送ってくれ。もし千布のところへ行くのがいやなら、家にある Kondukanto de l'interparolado Kaj Korespondado(エス語会話)La Fundo de L'mizero(悲惨の谷)Vojago interne de mia cambro(室内旅行)等を送ってくれ。先日話したエスペランタユ・プロザゾエというのは分ったか。もしそれが見つからねば、ハムレットを入れてくれ。ノチア・レブオはその後送って来るか。もし来ているなら、もう大ぶたまったと思う。それに日本エスペラントは相変らず出ているか。この二つを合本して入れてくれ。
家の解散、雑誌の発刊、および小田原行きの三件はどう極まりがついたか。いずれも互いに関係のあることではあり、それに事情のよく分らぬ僕には何とも決答し
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