いるというようなことはとてもできまい。ともかくも決定する前に詳しく手紙で書いて寄越して、そして面会に来い。
鹿住から何とか返事があったか。あるいは静岡の方からそんなところへ寄らなくともいいとか何とか言われていやしないか。僕からは来月あたり手紙を出そうと思う。五〇〇も請求しようと思うが、多いとかえってむずかしいからあるいは三〇〇ぐらいにして置こうか。そしてその中一〇〇ばかり本を買おうと思う。その前に僕の『万物の同根一族』を送って置いてくれ。
パリから書物が来たら、著者の名と書名とおよび紙数とを知らしてくれ。ドイツ語の本はできるだけ早く送ってくれ。スケッチ外数冊郵送の手続きをした。その中の La Morale という[#「という」は底本では「というう」]のは兵馬に返してくれ。カスリの単衣は宅下げすることができんそうだ。
千葉あたりに住みたいなどとそんな我儘を言うものでない。病気はいかが。猫のはがきは着いた。その他、足下のはみな見せられたようだ。他の同志からのはまだ一通も見ない。山川へエスペラントの本を送ったか。そのほかこうしてくれ、ああしてくれというたことは一々何とか返事を寄越してくれ。
次のことを秋水に知らせてくれ。悟君の事件の本人には、堺、森岡、僕の三人の名をもって絶縁を宣告する。また、同志諸君にも爾来彼を同志視せざらんことを要求する。山川にもこの旨知らしてくれ。
同志諸君によろしく。
*
大杉東宛・明治四十一年十一月十一日
いつもながら御無沙汰ばかりしていてまことに相済みません。
先きの電車事件が有罪となり、また新たに官吏抗拒事件というのが起って、目下私の在監中なのはすでに新聞紙や何かで御承知のことと思います。したがって定めて御心をなやましておいでのこととひそかにはなはだ恐縮しています。この上さらに御心配をかけるのもはなはだ相済みませんが、この際私に是非お願いしたい二つのことがあります。
その一は私の廃嫡のことです。父上の方でも私のようなものに父上の家を継がせるのは定めて不本意のことでしょう。また私の方でも、私の兄弟あるいは親戚たることによって、それらの人の身の上に何等かの禍いのあるようなことが起っては、私としてはなはだ相済まざる次第です。したがって、なるべく私の身を父上の一家より遠ざけて置くのが、それらの人に対する私の義務かと思います。幸
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