式が伺われるだけでも、そこには必ず襲って来ていた新時代がそれぞれにあった。そして、それに伴う闘争に継ぐ闘争の果の現実が、争われず今の自分の中にも確実に影響を与えているものであった。
 矢代はそれらの写真を見ているうちに、今の自分の生活に暗示となる精神を自然に拾い上げてゆくのだった。そして、写真の含む問題とは別して、新しい自分の時代の悩みとは何んであろうかと考えると、それは千鶴子のカソリックを法華の母に告げ報らせることを秘め隠そうとしていることだと思った。いずれは露れ出ることであるからは、最初に云っても良いとも思われたが、神仏混淆の権現造の建築に、さらにカソリックの尖塔を加える困難は、ただ建築様式として見た場合に於てさえ未曾有の苦心を要することであった。おそらく幾度となく兵火に焼き払われることだとしても、事実この世の日本に来ているものである以上は、工夫に工夫を重ねてこれをも日本化せしめて行く日のあることも、いつかは来るにちがいないのである。
 カソリックの建築のことは、直接彼の仕事に用はなかったが、矢代の勤めている貞吉の建築会社一つの整理部でも、建築の日本化問題は絶えず悩みの種で、また情
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