次小出しにまたそれを見せ合いながら進むまどろかしい均衡も、必要のある限り守り通し、続け通さねば、この結婚は成立おぼつかないのだと悟った。こちらだけ万事分ったような顔をするのは、折角の苦労も瓦解させる原因にもなりそうで、今は何事も知らぬ初客のように対応しているのが、この特殊な千鶴子の母との苦境を切り抜ける自然の力だと思うのだった。暫くして、千鶴子がアスパラガスやソーセージを持って客間に戻って来た。ビールなども、先ず彼女の母の前ではあまり飲まない努力もすべきだとは矢代に分っていたが、しかし、こんなに気苦労な場所では、無駄な警戒心を取り除いてくれるものこそ何よりの救いだった。
「お母さん、もうお寝みになって下さいよ。」と千鶴子は気を利かせて母に云った。
「じゃ、あたしお先に失礼させていただきまずから、どうぞ、お良ろしかったら、皆さんお泊りになっていらして下さいね。ね、あなた、そうお奨めして。」と千鶴子の母は娘に云って立ち上ると、それからまた、「矢代さん胃がお悪いんだそうですがら、ビールをあまりお奨めしちゃいけませんよ。」と附け加えた。千鶴子は出し抜けな母の注意が飲み込みかねたと見え、
「いい
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