アそんなことが云われているのですね。しかし、事実、米を食べた日は胃が重くなって、少し憂鬱に黙り込むようになるのは、僕だけじゃないようです。やはり、その土地のものを食べるというのが、一番人体にはいいようですね。」
無理に弁明したのでもなく、しかし、幾らかは弁解をまぬかれない、板挟みに合った感じで、矢代は、ただの客とは違う自分の位置の難しさを一層感じ、やはりこのような息苦しさは生れて初めてのことだと思った。
「そんなことどなたかにもうかがったようでしたわ。西洋人が日本へ来て洋食をいただいてると、だんだん頭が悪くなるんだとか、その方のお話、なかなか面白いこと仰言ってらっしゃいましたですよ。はア、そんなものかしらと、あたし思いましたが、そうでございましょうねえ。それでその西洋人の方、日本食をこちらでいただくようにしたら、御自分がお国にいらっしゃったときのように、また頭がよくお癒りになったとかうかがいましたわ。」
千鶴子の母にしても、同様今のような難場に立ち合ったことなど幾度もないことは、彼女のそういう話し方の間のろい調子にもよく出ていた。矢代はこれでどちらも自分の欠点を蔽いつつ、しかも、漸
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