の動いて来た様子で訊ねた。
「さア、それはわたしも初耳でしたね。しかし、そう云われてみると、なかなかこれは面白い、というより、強く胸を打って来るものがありますよ。たしかに――耶蘇の方の千八百七十七年は日本のいつごろでしたか。」と久木男爵は一同の顔を見廻した。
「明治十年ごろでしょう。」と矢代は答えた。そして、そう答えてしまうと同時に、その年の前後は日本にとっても重大な転換期だと思いあたり、光は東方よりという言葉も思い出すと、そのころより漸次に、光度を世界に増していった夜明けの日本の姿も彼は思い出されて来るのだった。
 久木男爵も考え込むときの例の癖を出して眼鏡を脱し、暫く鋭い表情のまま黙っていてからまた云った。
「ともかく、幣帛の形というのは幾何学として見ると、一枚の紙が連続的に、裏と表とを見せて無限に垂れているところに、現在の集合論との関係が成り立っているわけですから、鍵はどうもそこの連続の場所にあるらしいようですね。しかし、それはなかなか結構な問題ですよ。」
 久木男爵はそこまで云って一寸説明を止めたが、複雑な問題を手ごろなものに纏めたい工夫で、眼の光りがますますこのときから強くな
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