たが、そこの国民の成長力を感じるには、それが何よりですね。」と東野は久木男爵に云った。
「そうそう、どこの国の子供も子供のときは、みな同じように可愛らしいが、大人となると、またどうしてあんなに違うもんだか、相当憎いのもおりますからね。いったい、子供と大人とどのあたりで違って来るものか、なかなか微妙な研究問題ですよ。これは、わたしもときどきこの年になって、自分もこれで憎い人間になっているのかもしれぬと、考え込んだりしますからね。」
 久木男爵のそう云うのを矢代は聞くともなく聞きつつ、思わず、自分にとっては事実そうだと忘れていた灯台の光りをまた見詰めた。しかし、怨もうにも怨めぬこの憎さは、天から転がり下った宿命の糸に見え、少女のか細い肩の間から徐ろに廻って来る光りの瞬きも、ますます父の最後の笑顔をほのかに浮き出す灯火のように、愁いを含んで射しこもって来るのだった。
「ね、ほんとにお父さん、あんなに喜んで死んだんですもの。」
 父の亡骸を抱いた矢代の傍で、そんなに喜んだ母の顔も彼の眼から離れなかった。しかし、それもこれも起ったすべてのことは誰も知らず、ただ彼の胸中で人知れず燃え上っては、やが
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