矢代は、見るまに変ってゆく遊部の馬鹿にした表情を見詰め、今夜はどのようなことがあっても敗北していられぬと、握るフォークとナイフも自然に固くなった。
「しかし、あなたは日本の太古にそんなことがあったなんて、本当に思われるんですか。」と遊部はまた真正面から矢代を見て訊ねた。その顔はもう怒ったように生真面目だった。矢代は、そういう遊部と対き合うと、まったく遊部のその正直さも無理ならぬことと急に思えて来るのだった。遊部とは限らず、矢代たちの時代に受けた教育では、ニュートンを信用するのは当然のことで、この遊部の思いを翻すことなど容易に出来ることではなかった。しかし、彼と同時代の青年の中にも、槙三のような、幣帛の姿から胸打つものを見た感動ある新鮮な能力も蘇っているのを思うことは、矢代にさらにまた別の感動を加えるのだった。それは驚くべきことと思い、見ている卓上の布の白さも心を休める美しさに見えて来た。
「まア、僕たちは一番正直に考えるべきところへ来てしまったのですよ。あなたも僕も、どういう巡り合せか、そうなって来たのだから、なるたけ僕らは感傷を避けて、古代文明の新しい数学に驚きましょう。実際、意
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