ったその後から、矢代も何んとなくまた家を出た。
門灯の光りのとどかぬ雪の上には、矢代と医者と二人の通った跡だけ窪んで見えた。その窪みの中へ足を入れて歩く間も、矢代はさまざまなことが頭に泛んでまた消えた。
檜葉に積った雪がトンビの羽根に擦れこぼれていった。彼は雪の中を見廻し、あらためて父の死が本当のことかどうか験してみたくなったほど、どこか胸の中心が痺れ、そこだけ脱け落ちたようにしんと静かだった。
しかし、いったい、これが死だろうか。
あッという間にどこから躍り出て来たものか、とにかく、あたりの闇の中にそれがいたのだ。彼は暫く手応えのない問いをつづけつつ、医者と並んで歩いているうちに突然慄えが来て止まらなくなると、そこで医者と別れてひとり引き返した。いつかは一度来る恐るべきことにしても、しかし、それが今来たのだ。何か切迫したものがいよいよ虎口を開けて身近に詰めよっているのを彼は感じ、それと闘う準備に寸分隙も赦さぬ注意力で、心の鞘を払い落とし、抜き身をさげたような待機の心構えも自然と出てくるのだった。
しかし、もう父はいないのだ。とまた彼は思った。時間がどこかで急に脱れ、勢いこん
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