さを眺めていた。彼は敷きつめられた砂の白さと南天の実の赤さから、フロウレンスのある寺院の庭を思い出したからだった。その寺院の庭は、丁度こんな清潔の方形だったが、中央にただ一本の夾竹桃がぎっしり花を咲かせ、白い築地に囲まれた静寂な空間に艶麗な慎しさを与えていた。
廊下の向うからもう由吉らの笑声が聞えて来た。夕暮の迫る砂の薄明りを眺めながら、矢代は、今夜の会は自分にとっては一つの査問会のようなものになるのだと思った。自分に関する千鶴子の兄の由吉と槙三の報告が、彼女の母へ届いている現在、新に侯爵のも加わってまた届けられるにちがいない以上は、やはり自分の運命を左右する一夜ともなるのだった。それも侯爵夫妻の一番知りたい自分たちのことは、千鶴子と自分との秘やかな交渉が、どの程度のところまで進んでいるものか見届けたいことだろうと思うと、二人の間が、すでに実際の結婚以上のものまで済んでいると見られていることも、十中の九までたしかな事だった。しかし、若い男女の二人が自由に外国を渡り歩いているときに生じる必然的なことが、果してそのまま当然に生じたかどうか、侯爵の方とて聞き糺して見ることも出来ず、また矢代
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