だけ、また矢代には何んとなく魅力も生じた。彼はそれをカソリックという異種に対する自分の魅力だと思うと、その自分のひけ目が不快になり、同時にまた千鶴子を愛人と思うことにも、ともすると、赦しがたいある気持ちも感じて来るのだった。
矢代はそういう気持ちにふと襲われたりするとき、いつも細川ガラシヤを妻とした忠興の苦衷を歴史の中から探り出して想像した。丁度矢代の先祖の城の滅ぼされたのと同じ時代にカソリックを信じる妻に悩まされ、その信仰を思い翻えさせようと努める日夜の忠興と、あくまでそれに抵抗するガラシヤとの間で演ぜられた生活の悲劇は、今もなおそのまま自分と千鶴子との間でつづけられる性質の惧れでもあった。ガラシヤに抜いた太刀を突きつけ、
「キリシタンを捨てよ、捨てられずば腹を切れ。」
と迫る忠興の顔、そして、その前で天主の徳を説き、
「主を愛するが故に自分は、あなたを愛する。」
と主張してやまなかったガラシヤの反抗の強さに終始した二人の生涯を思うと、矢代は、西洋で自分の拾って来たものは、忠興を苦しめたその頑固なカソリックだけなのであろうかと、自然に心も暗くなった。
この細川忠興とガラシヤの
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