ばならぬように、人の心も自分の光の光源がどこにあるのかここで初めてよく分るのだった。矢代は自分も幾度も折れてみて来た光線に似ているなと、寝ながらも思った。そして、その光源の方へ今や戻って行こうとしている自分だと強く感じた。
 こんな感じが強かったためか、また彼は自然に、別れるときに祈りを上げたカソリックの千鶴子の姿も思い出した。この千鶴子の姿は、今までに幾度となく彼の思いの中に泛んで来た姿だったが、今の千鶴子の祈る姿は、不思議と喰い違う歯車のきしみを感じて矢代は困るのだった。
「ここで思ったり為たりしたことは、あたし一番変らないと思うの。本当にそう思うわ。」
 ふと何気なくそのとき云った千鶴子の言葉だったが、どこかに矢代の希う光源とは異う光りに満たされたその声が気になった。前にはそれもあまり異とせずにすませられたものまでが、この国境にさしかかり急に心に閊《つか》えて来たのが、ますます膨張して来そうな気配も伴って矢代は困った。
「それは、君はカソリックだからでしょう。そこが僕と違うのだなア。」
 矢代はそのときも千鶴子にそう云ったのを思い出し、今も同じように云って笑いに紛らそうとしてみた
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