ダントンの情熱と平行し、民衆に謀反の油を注ぎつつ、しかも、王の安全に奮闘して斃れるミラボオの苦策など――人の脳中にほんの些細な疑いの片影がかすめ去る度びに、ばたばたと首の飛び散った大噴水がここに立ち狂っていたのである。
久慈はその有様を手短かに真紀子に話した後で云った。
「ところが、その狂暴な噴水に整理をつけたのが、イタリア人のナポレオンなんだからな。――ここのフランスの愛国心の権化になったのがイタリア人だというのが、そこが僕らの不思議なところだ。分ったようで分らない。実際ここにこうしていると、まだまだ生きてみる値打ちのある構図を人生はとっているのだとつくづく思うね。」
「ナポレオンはイタリア人ですの?」
と真紀子は意外なことを聞いたという顔つきで訊ねた。
「それやコルシカ島民だから、その当時のあそこはイタリア領だったので、ナポレオンの父親はフランスと戦争をして負けたのさ。ところが、その負けたばかりのコルシカ島民のナポレオンがたった一人でフランスを征服したというんだからここの愛国心というものは、僕らにはまったく分らない。征服した方もされた方も、博奕に出た賽《さい》の目を信じただけだ
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