それぞれ無数の水粒を次ぎから次ぎへ噴きのぼらせていた。ある頂点で水粒は一度頓狂な最後の踊りをすると、どれもこれも力を崩し、速力を増して落ち散り、無に戻る運動を繰り返し、そうして、絶えず地中の法則というような姿だけは崩さず保って流動していた。ときどきは風のままに散る方向は変っても、噴きのぼるときには、風を突きぬけた気力の若若しい緊張がある上に、頂きで跳ね踊る姿のみな違うその面白さ。――久慈はこの朝の見事な噴水から眼が放れなかった。彼は自分がその一粒のどれかに似て見え、瞬時の休息の隙もなく砕け散る光りの嬉嬉としているのが、生きている瞬間の楽しさとなって身内に静かな情慾さえ次第に高まって来るのだった。
「噴水を見ているというのは実に面白いものだな。砕けるものまで嬉しそうだ。しかし、まったくそうかもしれない。」
 とふと久慈は呟いた。
「あなた今までそんなことを考えてらっしたのね。」
 と真紀子は、それで初めてあなたが分ったというような、久慈には意外に見えるほど満足した微笑だった。
「でも、ほんとうに面白いもの。あの頂上で分れて水の落ちる瞬間のところに、ある一線があるでしょう。あの線のところを
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