が、そこから塩野は、角度を選んで裏口の写真を四五枚も撮った。バルコンの次ぎに大広間が拡がっている。それを横切って階段をまた昇ると初めて三階に出た。一同を喰い止めている鉄の扉のあったのもそこだった。その扉も鍵を合すと無造作に開いたので、そとへ出られるらしい気配のまま歩いているうちに、いつの間にか正面の『諸王の廊下』へ出てしまった。
「何んだ、これや俳句にも写真にもならんじゃないか。」
と久慈は云って引き返した。すると、また一つ別の鉄の扉に出くわした。これは固く錆びついていたが、力を籠めて押すとぎいぎい重い音をきしませて開いた。扉の向うは通路になっていてもうここからは暗く、石の冷たさがひやりと頬にあたって来た。塩野は、
「そろそろ怪しいぞ。」
と云いつつ首だけ突き込んでみていてからそっと中に這入った。そこも別段変った所もなかったが、通路の端の所にまた一つ扉があった。塩野は手で撫で擦りながら鍵穴を見つけた。この扉は一番固くて鍵を廻しても廻しても容易に開きそうもなかった。やむなく久慈と二人で肩を揃えうんうんと気張っているうち、ようやく幾らか開いて来た。すると塩野は悲鳴のような声で、「牢屋だ
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