びに果物を届けたり、チョコレートの贈物をしたり、だいぶ無い金を使わせられた。婆さんの娘の子が肺病で入院してるもんだから、この娘にまで贈物をしなくちゃならんのだ。弱った弱った。」
「じゃ、もう随分お撮りになったんですのね。」
 と真紀子は初耳のように感心して訊ねた。
「いや、外だけ二百枚ばかりです。一般の通路は平凡で、写真にならんのですよ。禁止区にばかりいい所があるもんだから、今日もこれから一つ婆さんにこっそり頼んで、裏門から中へ這入る鍵を借ろうと、実は謀らんでるところなんです。事務所へ行っても、一ぺんに断られたんですよ。婆さんもなかなか落ちん。」
「苦労だね。しかし、そいつは駄目だろ。」と久慈は云った。
「お堂の中を分らんように、お祈りしてるようなふりをして、やっと三枚とったことがあるが、何しろ暗い上に十二に絞って、四十秒の手持ちだからみな駄目さ。裏門からは婆さん十五年も門番をしていて、一度もまだ這入ったことがないのだそうな。恐らく一人も這入ったものはいないだろうと、婆さんは云うんだがね。そこを何んとかして一つと、虎視眈眈としてるんだ。」
「それや、あそこなら化物が出るぞ。」と久慈は笑
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