いく不安に襲われ出すのだった。
 問題は土だ。それも農村問題や政治問題じゃない。もっとその奥の奥にあるのだ――。
 と久慈はこのように遅まきながらひとりいる自由さに、頭が故郷の土に戻ってあちこち日本の上を馳け廻って停らなかった。見るとテラスにいる外人たちのどの顔も、ある共通の淋しさを泛べている。それも皆それぞれの自分の故郷を思い泛べている顔に見えて来る。
「しかしだ。何ぜまだおれは日本へ帰りたくないのだろう。何ぜここがこんなに面白く見えるのだろう。」とこう思う。
 研究すべき宝の山へ這入っていながら、故郷の土を研究したって始まらぬ。いやそれより自分は故郷の日本の土の質さえまだよく知っているとは云えないのだ。西洋も知らなければ、東洋も知らぬ心というものは、これはいったい何んというものだ。
 そうだ。これはもう自分は飽くまで世界共通の宝を探すことだ。これこそどの国でも狂わぬというものをただ一つ探すことだ。と久慈はそんなに思うと再び活気を取り戻すのであったが、しかし、それも東野に云われたように、考えれば、共通のものというものはあるものやら無いものやら分らなかった。あると思うのは、なるほどこれ
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