んですのね、それをこの間から伺いたかったの。」
「あなたなんかしっかりと遊べるだけ遊んで帰りなさいよ。それがあなたの務めだ。人に気がねなんか今しちゃ駄目だな。」
 矢代にしては思いがけない答えを引き出した喜びに千鶴子は肩を縮めて見せ、
「それであたしも安心したわ。実は明日の夜も六時から、一つ出るところがあるの。プレデイリ・オネーの頭取さんのサロンよ。」
「とにかく、僕もあなたと楽しく遊ばせてもらいましたが、もうそろそろお別れしましょう。僕はミュンヘンからウィーンの方へ行かなくちゃならんのですよ。」
 云い難かったことも矢代は意外に躊躇なくそんなに云うことが出来ると、いよいよそれではもう実行にかかるべきときが来たと、心をひき緊めて行くべき遠くの空を胸に思い描くのだった。千鶴子は矢代の突然の話も、さきからの彼のいつものと違う変化を知っているためか、さして驚いた風はなかった。
「じゃ、景色のいい所があったら、電報を打ってちょうだい。そしたらあたしすぐ行きましてよ。行く先のホテルの日を験べておいていただけないかしら。」
「そうしましよう。」
 と矢代は云った。しかし、彼は心中、もうこのあたりで
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