うに訊ねられるまま、千鶴子や久慈が答えているうちに、突然大石は千鶴子を見て、
「じゃ、あなたはロンドンの宇佐美君の妹さんですか。」と驚いて訊ねた。
「ええ、兄を御存知でございますの。」と千鶴子も全く意外な様子であった。
「知ってるどころじゃありませんよ、あなたの小さい時を、僕は見たことがありますよ。」
「ああ、あの宇佐美君か。」と塩野も思い出したと云う風に、
「僕と大石とは暁星の同級でしてね、宇佐美君もそうでしょう。」
 このようなことから話はますます一致して進んでいくと、手ぐるように共通の知人が三人の間から続続と現れた。
「じゃ、一度御招待したいと思いますから、明日はどうですか。お暇でしたら六時にいらして下さい、僕らは皆一緒の所におりますから。」と塩野は云った。
「ええ、ありがとうございます。」
 千鶴子は礼を塩野に云ったものの、他の者が多くいるのに自分一人招待される苦しさにちらりと矢代の方を窺った。傍で前後の様子を聞き知っている矢代は、千鶴子一人を引き抜くような塩野の申し出にも、むしろ裏のない誠実さを感じた。彼はフィンに染った眼もとで、紫陽花の上で輝く楽士のトランペットを眺めながら
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