由吉の洒落れてそういうのに矢代は、自分のこの度びの旅から拾って来た美しさは、山中の農家で見た障子の白さだったと思った。田辺侯爵家の城の美しさも忘れがたいものだと思い、一同に対って、京都旧跡の廻り方は玄人の行き方と素人のとに分れているらしいが、諸君らのはどちらを選んだのかと質ねてみた。みなは即答できず、にやにやしながら顔を見合せていてから、佐佐は半玄だと云い、塩野は、いや、一力まで侵入したのだから純然たる玄人の廻り方だと主張した。しかし、素人玄人に拘らず、京都研究をふかめる量につれて、そのものの文明観の質も変化していくものだという、一般研究家の言を矢代も疑わなかったので、食卓に並んだ今みる一行の変化ある様子や、殊に、伊勢、奈良を廻って来た千鶴子に与えた古都の影響を察するとき、矢代は、ともに自分も豊かさが増し、明るさの加わるのを覚えた。
 嵯峨一帯の寺寺から、修学院、大徳寺境内、西本願寺の飛雲閣、それから醍醐寺までとのびた巡拝の径路に、三日にしては少し多すぎるほどだったが、それらのうち矢代の記憶にある道条を想像しても、郷里への旅で得て来た自分の変化に劣らず、彼らは彼らで、また自ら異った
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