からの京都の旧蹟を撮ることに、今から愉しみぶかい興奮を示して絶えず活溌に話したが、矢代だけは明日の別れもあり、また皆のものを京都へひき出したこの度びの責任の回避も覚えて、とかく沈みがちに気重くなるのだった。ホテルの自室へ戻ってからも、翌朝の出発を今夜の夜行にすれば九州からの戻りも一日早くなり、それなら帰途京都へ着くときもまだ一行に会われそうな余裕もありそうだったので、ためしに一応駅へ寝台の問合せを頼んでみた。すると寝台も一人ならまだ工面が出来るとのことだった。時間を見ると、その列車は後二十分より間がなかった。二十分では躊躇もされたが、それはまだ遅すぎるわけでもない間に合う時間だった。
彼は荷物をあわただしくまとめてみて、千鶴子の部屋へだけ行ってみた。
「僕ね、このすぐの夜行にしましたよ。皆さんに黙って行きますから、あなたから宜敷く――」
帽子を手にした矢代を見ると千鶴子は、不審しそうに黙って立ち上った。
「これで行くと一日早く戻れますからね、それだとまたここで落ち合えますよ。じゃ。」
矢代は答えも待たず部屋を出た。彼の後から廊下を随いて来た千鶴子にエレベーターの口で彼は手をさし出
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