密でもないある正しいものを秘密の色に包み隠し、やがてはそのようにしてしまう奇術に似た運動だと思った。それは忘れようと努力している二人にも拘らず、ときどき視線の合うある瞬間に、まったく二人から独立した生物のようにびりびりと繊細に慄え、振り落すわけにはいかぬ。どんなに遠く放れていようとも、またどんなに二人が嫌い合おうとも、どこまでも延びつづいてやまぬ稲妻のような意識だった。
 タバランへ一同の着いたときは九時を少し廻っていた。レビューはもう始まっていた。ここはそんなに広くはなく、舞台で二十人ほどの踊子のようやく踊れるばかりの浅さに、観客席の中央へ能舞台を床の高さに低めてせり出した客の踊場が附いているだけだったが、レビューとバンドの統一された見事さ、またその幕間に踊る客たちの踊りと、舞台のレビューの交錯する瞬時といえども停滞のない俊敏さは、心を巻き込む機械のような格調をもった時間となって流れ迫って来るのである。
 一同はシャンパンを舐めながら踊らずにレビューばかりを眺めていた。完全な均整を失わず踊る踊子の並列した裸体と、その一貫した筋肉の美を揃えた総体の開閉、収縮、屈伸が、ことりことりと鳴る単音のような明快さでつづいてゆく。――久慈だけは、ここは二度目だったが他のものは初めてだったから、最初の間は踊りの単調さに何んの感動もなく見ているばかりだった。すると、二幕三幕と淡淡とした確実さで進んでいくうち、間髪の間違いもない同じ調子の運動の持続に矢代は、
「これは素晴らしいところだ。」
 と先ず歎声を上げた。
「ほんとにこんなレビュー初めて見たわ。」
 真紀子も今までちょうど同じ興奮の伝わっていたことを報らせたい風だった。
 舞台から眼を放さない千鶴子も黙ってそれに頷いた。
 ところがその舞台の単調な体操に似た二十人の踊りが、弁を開いてゆく甘美な花のように次第に複雑な膨らみを示して来るのだった。
 久慈はいまに一同何んともほどこすすべなく陶酔していくだろうと予想していたが、自分ももう興奮を感じ始めた。
「これを見ていると、僕らはやはり東洋人だという気がして来るね。」
 と久慈は矢代に囁いた。
 踊子たちの胴から腰、腰から脚と眺めていても、緊った乳房の高まりは勿論のこと、腹部に這入った一条の横皺まで同一の人間の分散した姿かと思われるほど酷似した肉体だった。それらの筋肉の律動は、また
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