ち合いをしとる。いっぺん僕んとこへも遊びにいらっしゃい。なかなか凄いよ君。ところが、あの連中の云うことが面白い。何も死ぬ段になれば、刀なんかより機関銃の方が早いと云うのだ。これや科学的でしょう。」
「しかし、それや、栄養価とどういう関係があるんですか。」
「死ぬ方への栄養価を考えとるじゃないか。なかなか簡便なもんだ。」
久慈はふと大きな落し穴の開いているのを感じた。しかし、もう一時も早く鰻のような東野の頭へ、絶対確実な釘を一本打ち込んでやりたくなった。
「それや、人間が死ぬ方へでしょう。僕らのは生きる方の栄養価だから、話は別だな。知識は生きる方を考えてこそ、人間を富ますのですからね。」
ちりちりと尾っぱちを跳ねくらせる鰻を見る思いで、久慈は静かに笑いながち東野を見るのだった。
「それや、そうだ。生きなくちゃいかん。」
と東野は、負けた感情を妥協の中へ捻じ入れかねない厳粛さで賛成した。そんなら初めから黙って俳句でも作っていれば良いだろうと久慈は思っているときに、東野はまたいつの間にか大迂廻をして来た急激な調子で攻め込んで来た。
「僕らの知識は生きなくちゃいかんのに、簡便主義は生きたものまで殺すのだ。いったい、人間の感情というぴんぴんしている活動力を、皆刺し殺してしまって何が科学だ。殺すのが科学なら、機関銃の方が簡便だろう。」
「それや、君のははったりだ。」
久慈は不意を撃たれた叫びのような声で云うとフォークを持った。
「はったりにもいろいろ有るからな。精妙な科学の結論というものは、皆はったりの形をとるものです。はったりこそ真理だ。分るまいが。」
東野の言語道断な言い方にもう久慈は黙ってしまった。手に持ったフォークが細かく懐えた。頭がびいんと鳴りつづけ、葡萄酒をいっぱい飲んだが一層息苦しくなりそうに思ったので水を飲んだ。しかし、久慈は考えても考えても次の言葉が出て来なかった。そのくせ絶対に負けたとは感じられぬ。もしこれで負けたのなら、このヨーロッパの最高の文明が何をわれわれに教えたのだ。
鰈とスパゲッティが出て来たとき、「久慈君、もうしばらく議論をやめよう。折角の料理が死んでしまうよ。とにかく知識というものは物を生かさなきゃ。」
と東野は云ってナイフを持った。まだやるのかと思った久慈は、頭が首から放れて舞い立ちそうに感じた。
「あなたは、僕たち東洋人が知識
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