ある人柄というべきところだろう。
「何んという阿呆かのう参右衛門は。遊んでばかりいて、飲んだくれて、家をこんなに潰してしもて。」
 叔母にあたる久左衛門の妻女のお弓がこういうのも、言葉の裏の対象には、いつも弥兵衛の家が隠れている。祭日には参右衛門の末の娘はここから自分の家へ帰って来る。そして、餅など食べているのを私はよく見るが、今夜は家で泊って行きたいと娘が云うときも、
「お前は奉公してるんだからのう。やっぱり、大屋さんへ帰って寝るもんだ。良いか、今夜は帰れよ。」
 と、参右衛門はこう静に娘をさとしている。娘は泣き顔で戻って行くが、負けん気の参右衛門も、このようなときは、さすがに声は低く娘に詫びを云うように悄気ている。殊に、後三四日もすれば、別家の久左衛門の十九のせつ女の結婚式が迫っているからには、十七の自分の娘の身の上も、そろそろ考えてやらねばなるまい。私は出来る限り、同じ金銭を落すものなら、ここの家へ落して帰りたいと思っているのだが、
「おれは金はいらん、あんなものは――」
 と、久左衛門への対抗か、むかしの旦那風の名残りは、手出しの仕様もない。実際、金を少しは欲しがってくれる人間
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