日が照ったかと思うと、また雨になり風になる。激しい変化ながら、海の方にある山が次第に明るみを加えて来た。
「こんな雨の多い秋はないもんだのう。」と久左衛門は来て云う。
 顔を雨に濡らした子供たちは、山の樹に絡まったあけびの実を懐いっぱい詰め込んで来て、ごろごろッと炉の傍へ投げ出した。そして、味噌を中につめ、油を皮に塗って火で焼いて、うめいぞ、これはという。どこの農家も人が出払っている留守の炉に、火だけは燃えている。猫が背を丸めた閑散な午後になったと思っていると、また強くなった風に木の葉が飛び廻り、色づき始めた柿の実が葉の吹っ切れた枝から、目立って顕れて来る。見定めなき一日の天候。

 この夜、自分らの田を全部刈り上げた参右衛門夫妻が、鳥の巣をもって帰って来て仏壇にそなえた。穂のついたままの新藁が、納豆の包みのようにふくれた中に三つ小さな卵がある。久しく見えなかった空に星が出ている。騒がしく鳴る竹林の風の音を聞きつつ、参右衛門と清江は、明日から稲刈の手伝いに出て行くさきの相談をした。主人の方は長男の嫁の実家へ、清江の方は、自分の実家の組合長の家の田へと。いつもよりこの夜二人は早く寝室へ這
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