も無くなったよ。知性が知性を滅ぼしておけさ踊りをしてるんだ」
「しかし、日本も累進率の税法で、これから文化がどしどし上る一方だよ。左翼のやれなかったものを、妙なところがやりよったのだ。面白いね。長い間金持ちが金を儲けすぎた罰がとうとう来たんだね」
重役でありながらこのようなことを云う友人の顔を見ながら、梶は日本の変化の凄《すさま》じさを今さら見事だとまたここでも感服するのだった。
彼は事ごとにこのごろの日本に感服する自分をこれはどうしたことであろうかと思った。寝足りた朝のように平凡な雑草まで眼をとめて眺めたいのは、これは自分も一人前に成長して来たからだと思われた。
梶が友人と別れて帰って来たときはもう夜になっていた。家の掃除も引き越しも無事に出来上っていたので一同夕食をとろうとして茶の間へ集った。すると、それまで外で遊んでいた長男は帰って来たが、次男の四つになるのがいつまで待っても姿を見せなかった。どこへ行ったのかと梶が訊ねても誰も知らなかった。彼はすぐ人を四方へ走らせてみた。しかし、いずれも帰って来たものはみな要領を得なかった。初めのうちはそれぞれあまり気にもせずそのうちひょっ
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