はもう古くさいよ。ただフランスの左翼はトロツキイ派が多いんだが、スターリン派の左翼とどうなるかというのが、一番僕には面白いね。これは日本で考える以上にもっと性質の違った複雑な問題なんだ。僕がモスコーへ行ったとき聞いたんだが、この六月にチタで汽車の衝突事件があっただろう。汽車が衝突したというので、駅長から助役、機関手みな責任者を即決裁判で銃殺しちまったんだ」
「ふむ」と友人は眼を見張った。
「それもスタハノフ運動という貨物の能率増進運動を妨害しようとしたトロツキイ派の一味だからというのだが、しかし、日本の左翼はスターリン派かトロツキイ派か、どっちが有力なんだ。君聞かないか」
「それゃ聞かないね。しかし、無茶をしよるな」とまだ友人は考えている風だった。
「しかし、左翼の一番の強敵は右翼じゃなくて同じ左翼だというのが、今じゃ現実そのものになって来たんだから、思想もどこまでこ奴、悪戯《ふざ》けるか底が知れないよ。現実を全くひやかしてるようなもんだからね。そこをユダヤ人がまた食いさがってにやにやするという寸法だ。良い加減に腹を立てる奴も出て来るさ。とにかく、もう世界の知識階級は云うこともすること
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