二十五年間の文人の社会的地位の進歩
内田魯庵

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)壟断《ろうだん》せられ、

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)旧|旗幟《きし》を撞砕した

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「※」は「目+爭」、第3水準1−88−85、読みは「みは」、179−16]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)広い/\
−−

 二十五年という歳月は一世紀の四分の一である。決して短かいとは云われぬ。此の間に何十人何百人の事業家、致富家、名士、学者が起ったり仆れたりしたか解らぬ。二十五年前には大外交家小村侯爵はタシカ私立法律学校の貧乏講師であった。英雄広瀬中佐はまだ兵学校の寄宿生であった。
 二十五年前には日清、日露の二大戦役が続いて二十年間に有ろうと想像したものは一人も無かった。戦争を予期しても日本が大勝利を得て一躍世界の列強に伍すようになると想像したものは一人も無かった。それを反対に
次へ
全22ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
内田 魯庵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング