トヾ」に傍点]の結局《つまり》が博物館《はくぶつくわん》に乾物《ひもの》の標本《へうほん》を残《のこ》すか左《さ》なくば路頭《ろとう》の犬《いぬ》の腹《はら》を肥《こや》すが世《よ》に学者《がくしや》としての功名《こうみやう》手柄《てがら》なりと愚痴《ぐち》を覆《こぼ》す似而非《えせ》ナツシユ[#「ナツシユ」に傍線]は勿論《もちろん》白痴《こけ》のドン[#「ドン」に傍点]詰《づま》りなれど、さるにても笑止《せうし》なるは世《よ》の是《これ》沙汰《さた》、飯粒《めしつぶ》に釣《つ》らるゝ鮒男《ふなをとこ》がヤレ才子《さいし》ぢや怜悧者《りこうもの》ぢやと褒《ほ》めそやされ、偶《たま》さか活《い》きた精神《せいしん》を有《も》つ者《もの》あれば却《かへつ》て木偶《でく》のあしらひせらるゝ事|沙汰《さた》の限《かぎ》りなり。騙詐《かたり》が世渡《よわた》り上手《じやうず》で正直《しやうぢき》が無気力漢《いくぢなし》、無法《むはう》が活溌《くわつぱつ》で謹直《きんちよく》が愚図《ぐづ》、泥亀《すつぽん》は天《てん》に舞《ま》ひ鳶《とんび》は淵《ふち》に躍《をど》る、さりとは不思議《ふしぎ》づく
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